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11/4日~ 11/19 表現…楽しみの“みのり”

肌寒い冬のはじまりの日、きりん舎の庭のピンオークが紅葉しはじめています。今回の展示は、京都府舞鶴市の社会福祉法人みずなぎ学園・みずなぎ鹿原学園から陶と刺繍の作品と、鳥取県米子市の社会福祉法人もみのき福祉会から絵画作品を展示しました。

1階の玄関の間では、もみのき福祉会の川上敏郎さんの作品が目に入ります。ゲルインクボールペンを何色も使い、大きなパネルを塗り分けた作品です。青~緑系の色がぱっと目に入るすっきりした画面ですが、風になびくように横へと伸びた帯は、気の向くままに伸びて、画面下に落ちるものあり、ある色は他の色と巧妙に差し替えられるものありで、造形の妙を発揮しています。ボールペンの線跡がレースのように美しいです。

高橋延宏さんの絵は、大きな黒い画用紙の上にクレパスもしくは色鉛筆のような画材で色を浮かび上がらせています。赤系の色をベースとして、円、幾何学模様、流動的なリボンなどのモチーフが詰まっていて、ある模様が次の模様を生み、表裏に錯綜し、サイケデリックな雰囲気です。黒が画面の奥に隠れているため、明るい色がほの暗く光ります。

安井中さんは水色の画用紙を使い、ゲルインクボールペンで虹色の帯を上から下に垂らすように描いています。帯の中には2~3mm程度の大きさの何かがびっしりと連なっています。文字のようにも見えますが、規則性のある不思議な形にも見え、またモルタルのような素材にヒビを入れたようにも見えて、見れば見るほど不思議です。

大きな段ボール紙にアクリル絵の具を使い、仮面ライダーやサンタクロースなどの人物像をのびのびと描く足立伸一さん。仮面ライダーは足立さんの好きなモチーフの一つだそうです。段ボール素材によって気取らず、顔の大きさに比べて手足がひょろりと小さいヒーローの姿に脱力感があって笑いを誘います。

西岡和子さんは、ぶどう、すいか、サクランボ、などのフルーツを散らしたパターンを繰り返す作品。昭和40年代ごろの家庭雑貨に流行ったデザインが思い出されて、ぐっと来てしまいました。賑やかな画面からかわいらしく楽しい気分が伝わって、きらきらして発色がきれいなゲルインクボールペンの素材の特長を余すところなく発揮しています。

木村広美さんは大きな画面いっぱいに色とりどりに放射状に広がる花火もしくは花のようなものを描き込んでいます。力強くストロークをきかせて色鉛筆を塗り重ね、仕上げにゲルインクボールペンのラメ色も取り入れたもの。同系色・補色も使って、次から次へと一つ一つ花開くように迫ります。黒色の使用で暗がりから輝くような画面が魅力的です。

もみのき福祉会の作品は2階へと続きます。「ロールケーキ」と施設職員の方が呼んでいた作品は黄色い中に赤いらせん模様が大胆に描かれたもの。井村敏子さん、亀田寛人さん、黒見由美子さん、谷川望彦さんら4人の作者による共同作品でした。

湯原昌伸さんの3作品は、零戦、警視庁の白バイ、スポーツカーという男の子の好きなメカ3種といった趣向。パーツへの丁寧な描き込みはもちろん、均一な描線、観察に基づく正確な表現など、クールな批評性が感じられます。湯原さんのローマ字筆記体サインも、意思を感じさせて印象に残りました。

2階の間には先に紹介した足立さんの鳥や亀をモチーフにした4作品です。アクリル絵の具を使って大きくためらいなく描かれ、絵筆をより強く持ち、ストロークを跳ねながら鳥の羽などを表現しています。彩度の高い色使いはトロピカルな雰囲気によく合っており、明るく真っ直ぐな表現が見る者の心を打ちます。

表敷功さんの1作品は文字を色と形として再構成したもの。文字として読むと、「ほっと茶町 もみのき」といった文字が含まれています。描かれているのは作者がたまたま手に取った社会福祉法人施設のリストを写したもの。表象としての文字をパーツとして扱いながら、作者を取り巻く環境をうかがわせる作品です。

1階に戻り、奥の間ではみずなぎの作品群が展示されています。みずなぎは、昨年10下旬~11月上旬の 「大地と色彩」展(http://ayabe-kirinya.com/blog/archives/932)に続く2度目の紹介。今回も作品名や作者名のない展示ですが、前にも見かけたのと同じ人が作ったとわかる作品もあり、再会の気持ちで見ました。

白生地に点々とステッチを施し丸い形を連ねた作品。同心円状の模様に交じって人物や太陽らしきものも見えます。同心円は大小の大きさがまとまっているため、全体の印象もリズミカルで、糸の色の変わっていく様子とともに優しく泡立つような浮遊感があります。

象さんとサーカスとでも呼びたくなるような作品では、二頭の象やサーカスの玉などが鮮やかな色で縁取られています。刺繍模様は独創的で色鮮やか、頭を上げて鼻を高く持ち上げた象の姿が可愛らしいです。

白鳥ボート、海にかかる太陽といった2作品は、刺繍糸の多数本を取って一部の隙間もなく埋められています。一刺し縫う糸の束の中にいろいろな色が混ぜられているため、少しくすんだ色合いで仕上がっていますが、絵としての効果をあげています。これは前回にも「かぼちゃ」の刺繍を展示した作者であることがわかりました。針穴の太い畳針を使っている方で、大変な作業ということです。

同じ部屋では陶作品の大作も並びます。みずなぎでは信楽焼の窯元に依頼して穴窯で大きな作品を焼成してもらうそうで、地の利を活かした制作体制が見られます。

花瓶状で、底から口にかけて広がり、全体も大きく深く作られた器の3作品。縄のようによった粘土を重ねたあとがくっきりと見て取れ、積み重ねから大きなものを作る喜びと自信のうかがえる作品になっています。穴窯の焼成によって、灰をかぶって釉薬のような美しい艶と色目が加わっているのも味わい深く感じました。

同じく花瓶ですが、逆三角形のものと細長いものを展示した4作品。どちらも高台の不安なところが逆に「たてる」ことを意識させ、緊張感のある作品に仕上がっています。先に紹介した花瓶の作品よりも縄模様はなじんで消えていますが、手びねりらしく凸凹がほのかに影を落とし、味わいになっています。

粘土で大まかな土台を作り、粘土を握って手の指くらいの大きさ・形に作ったものを貼り付けていく手法で、龍やらくだ、人物像などを表現した作品4点。縄文土器の土偶のような偶像的な姿と力強い表現に覚えがあり、こちらも前回展示されていた人でした。迫力ある造形と同時にどこかとぼけた親しみやすさがあるのも魅力です。

橋などの建築物をモチーフにした作品4点。アーチ橋風あり、吊り橋風あり、さまざまなタイプの橋が表現されています。豆粒大の粘土を押して貼り付けているのが特徴ですが、土台、橋脚、上部構造と構造物を作り上げる楽しさが伝わる作品群です。この方は同時に小さくかわいらしい陶人形をつくるのも得意ということで、幅広い興味をもっているようです。

今回の展示会は「平成29年度地域アート展開催委事業」の補助金を受けています。