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アトリエにしまち通り

アトリエにしまち通りオープンしました。
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私たちは、アール・ブリュット作品を展示するギャラリーを開設して6年目になります。2017年4月から、障害を持って暮らしている方が、創作・表現活動に楽しみを見出し、寛げるようなアトリエを開設しています。特別な指導・教育は行わず、本人の思いを自由に表現できる場にしたいと考えています。将来は、創作された作品の展示会や、各種のワークショップなどを楽しむ計画をも持っています。

場所:市内西町2丁目 ギャラリーきりん舎(予定:変更する場合もあります。)

日時:毎月、第2・4土曜日、2時から4時まで(将来日時を増やすこともあります。)

条件:①画材等は無料

②1回につき参加費500円

送迎無し

付き添いは可

…その他ご不明の点があれば、お問い合わせください。

 

関心を持たれた方のご連絡をお待ちしています。以下いずれの方法でも結構です。

☎:0773-42-0277(夜:0773-43-2428)

携帯:090-3039-6788

e-mail:shiobrbr@pearl.ocn.ne.jp

NPO法人きりん舎

綾部市西町通り2丁目91番

 

11/4日~ 11/19 表現…楽しみの“みのり”

肌寒い冬のはじまりの日、きりん舎の庭のピンオークが紅葉しはじめています。今回の展示は、京都府舞鶴市の社会福祉法人みずなぎ学園・みずなぎ鹿原学園から陶と刺繍の作品と、鳥取県米子市の社会福祉法人もみのき福祉会から絵画作品を展示しました。

1階の玄関の間では、もみのき福祉会の川上敏郎さんの作品が目に入ります。ゲルインクボールペンを何色も使い、大きなパネルを塗り分けた作品です。青~緑系の色がぱっと目に入るすっきりした画面ですが、風になびくように横へと伸びた帯は、気の向くままに伸びて、画面下に落ちるものあり、ある色は他の色と巧妙に差し替えられるものありで、造形の妙を発揮しています。ボールペンの線跡がレースのように美しいです。

高橋延宏さんの絵は、大きな黒い画用紙の上にクレパスもしくは色鉛筆のような画材で色を浮かび上がらせています。赤系の色をベースとして、円、幾何学模様、流動的なリボンなどのモチーフが詰まっていて、ある模様が次の模様を生み、表裏に錯綜し、サイケデリックな雰囲気です。黒が画面の奥に隠れているため、明るい色がほの暗く光ります。

安井中さんは水色の画用紙を使い、ゲルインクボールペンで虹色の帯を上から下に垂らすように描いています。帯の中には2~3mm程度の大きさの何かがびっしりと連なっています。文字のようにも見えますが、規則性のある不思議な形にも見え、またモルタルのような素材にヒビを入れたようにも見えて、見れば見るほど不思議です。

大きな段ボール紙にアクリル絵の具を使い、仮面ライダーやサンタクロースなどの人物像をのびのびと描く足立伸一さん。仮面ライダーは足立さんの好きなモチーフの一つだそうです。段ボール素材によって気取らず、顔の大きさに比べて手足がひょろりと小さいヒーローの姿に脱力感があって笑いを誘います。

西岡和子さんは、ぶどう、すいか、サクランボ、などのフルーツを散らしたパターンを繰り返す作品。昭和40年代ごろの家庭雑貨に流行ったデザインが思い出されて、ぐっと来てしまいました。賑やかな画面からかわいらしく楽しい気分が伝わって、きらきらして発色がきれいなゲルインクボールペンの素材の特長を余すところなく発揮しています。

木村広美さんは大きな画面いっぱいに色とりどりに放射状に広がる花火もしくは花のようなものを描き込んでいます。力強くストロークをきかせて色鉛筆を塗り重ね、仕上げにゲルインクボールペンのラメ色も取り入れたもの。同系色・補色も使って、次から次へと一つ一つ花開くように迫ります。黒色の使用で暗がりから輝くような画面が魅力的です。

もみのき福祉会の作品は2階へと続きます。「ロールケーキ」と施設職員の方が呼んでいた作品は黄色い中に赤いらせん模様が大胆に描かれたもの。井村敏子さん、亀田寛人さん、黒見由美子さん、谷川望彦さんら4人の作者による共同作品でした。

湯原昌伸さんの3作品は、零戦、警視庁の白バイ、スポーツカーという男の子の好きなメカ3種といった趣向。パーツへの丁寧な描き込みはもちろん、均一な描線、観察に基づく正確な表現など、クールな批評性が感じられます。湯原さんのローマ字筆記体サインも、意思を感じさせて印象に残りました。

2階の間には先に紹介した足立さんの鳥や亀をモチーフにした4作品です。アクリル絵の具を使って大きくためらいなく描かれ、絵筆をより強く持ち、ストロークを跳ねながら鳥の羽などを表現しています。彩度の高い色使いはトロピカルな雰囲気によく合っており、明るく真っ直ぐな表現が見る者の心を打ちます。

表敷功さんの1作品は文字を色と形として再構成したもの。文字として読むと、「ほっと茶町 もみのき」といった文字が含まれています。描かれているのは作者がたまたま手に取った社会福祉法人施設のリストを写したもの。表象としての文字をパーツとして扱いながら、作者を取り巻く環境をうかがわせる作品です。

1階に戻り、奥の間ではみずなぎの作品群が展示されています。みずなぎは、昨年10下旬~11月上旬の 「大地と色彩」展(http://ayabe-kirinya.com/blog/archives/932)に続く2度目の紹介。今回も作品名や作者名のない展示ですが、前にも見かけたのと同じ人が作ったとわかる作品もあり、再会の気持ちで見ました。

白生地に点々とステッチを施し丸い形を連ねた作品。同心円状の模様に交じって人物や太陽らしきものも見えます。同心円は大小の大きさがまとまっているため、全体の印象もリズミカルで、糸の色の変わっていく様子とともに優しく泡立つような浮遊感があります。

象さんとサーカスとでも呼びたくなるような作品では、二頭の象やサーカスの玉などが鮮やかな色で縁取られています。刺繍模様は独創的で色鮮やか、頭を上げて鼻を高く持ち上げた象の姿が可愛らしいです。

白鳥ボート、海にかかる太陽といった2作品は、刺繍糸の多数本を取って一部の隙間もなく埋められています。一刺し縫う糸の束の中にいろいろな色が混ぜられているため、少しくすんだ色合いで仕上がっていますが、絵としての効果をあげています。これは前回にも「かぼちゃ」の刺繍を展示した作者であることがわかりました。針穴の太い畳針を使っている方で、大変な作業ということです。

同じ部屋では陶作品の大作も並びます。みずなぎでは信楽焼の窯元に依頼して穴窯で大きな作品を焼成してもらうそうで、地の利を活かした制作体制が見られます。

花瓶状で、底から口にかけて広がり、全体も大きく深く作られた器の3作品。縄のようによった粘土を重ねたあとがくっきりと見て取れ、積み重ねから大きなものを作る喜びと自信のうかがえる作品になっています。穴窯の焼成によって、灰をかぶって釉薬のような美しい艶と色目が加わっているのも味わい深く感じました。

同じく花瓶ですが、逆三角形のものと細長いものを展示した4作品。どちらも高台の不安なところが逆に「たてる」ことを意識させ、緊張感のある作品に仕上がっています。先に紹介した花瓶の作品よりも縄模様はなじんで消えていますが、手びねりらしく凸凹がほのかに影を落とし、味わいになっています。

粘土で大まかな土台を作り、粘土を握って手の指くらいの大きさ・形に作ったものを貼り付けていく手法で、龍やらくだ、人物像などを表現した作品4点。縄文土器の土偶のような偶像的な姿と力強い表現に覚えがあり、こちらも前回展示されていた人でした。迫力ある造形と同時にどこかとぼけた親しみやすさがあるのも魅力です。

橋などの建築物をモチーフにした作品4点。アーチ橋風あり、吊り橋風あり、さまざまなタイプの橋が表現されています。豆粒大の粘土を押して貼り付けているのが特徴ですが、土台、橋脚、上部構造と構造物を作り上げる楽しさが伝わる作品群です。この方は同時に小さくかわいらしい陶人形をつくるのも得意ということで、幅広い興味をもっているようです。

今回の展示会は「平成29年度地域アート展開催委事業」の補助金を受けています。

6/17〜7/2 わき出る思い〜三つの形

空梅雨の続く6月の空はさわやかで、庭木をすっきり剪定したきりん舎も涼し気です。今回の展示は敦賀市立やまびこ園の絵画、同市のワークサポート陽だまりのさをり織と糸、小浜在住の「詩音くん」と「夏美ちゃん」の書の作品が見られます。

1階の玄関と奥はやまびこ園の絵画作品。メンバーによる合同作品「いろんな気持ち」がまず目に入ります。複数のメンバーが手掛けた色とりどりの色(形)はそれぞれ主張しながらも見事に溶け合い、白いキャンバスの上で飛び跳ね、垂れ下がり、描き殴られ、混色され、抽象的な形となっています。バランスよく余白を保ち、一目見るなり美しさが引き立っている画面です。

山岸康憲さんの「名前はねえ」は、透けていく色の重なりが繊細な陰影を帯びて優しい効果を生み出しており、タイトルはぶっきらぼうですが、画面は雨にけぶっているような雰囲気を感じさせます。一方同じ山岸さんですが、「僕の生活」になるとキャンバスに展開される表象とタイトルの間に推し量ることのできない謎が横たわっており、作者の存在が空を切るように立ち上がります。山本千晴さんの「無題」2題の1点は、赤とピンクを塗りこめた大胆な構成、もう1点は赤とピンクに空色や群青色を合わせています。同園では同じキャンバスを2度3度と使って絵を新たに描き直しているということで、山本さんの絵も、厚く塗られた絵の具が経年変化ではがれ、その下から、過去に塗られた色がのぞいています。必ずしも作者の意図とはいえませんがそうした経緯も含めた作品鑑賞になります。作者不詳の「無題」はえび茶色がキャンバス一面を覆うように厚く塗り込められ圧倒的な迫力。

坂口裕さんの「野坂山の木々」は小さくちぎった色紙の紙片を貼り付けながら、大きめの点描を重ねるという独特の表現。ピンク、水色、オレンジ、黄色などの絵の具と緑色などの紙片を基調として全体が同じトーンで覆われていますが、重ねられたタッチの向こうに風景が封じ込められ美しい情景が広がっているように見えます。武田明子さんの「無題」は、何色かの色を大きく塗り分けた画面ですが、こちらもまたはがれた絵の具から過去に描いた画面が露出しており、一種のイメージになっています。画面の左手下方に張り付けられた紙片がなにがしかの意思を感じさせ、印象に残ります。鳫子はつゑさんの「顔と手」は、鮮やかで軽快な色使い、引き締まった画面の構成、大らかな手筋を感じさせる筆遣いが魅力的です。

川上大樹さんは「寿限無」と「いのちの花を」ですばらしい色彩と構成のバランス感覚を発揮しており、一目見るなり目が喜ぶ楽しさや幸せを掴み出しています。堂田隆宏さんの「お仕事がんばっている僕」は、ユーモアを感じさせるタイトルで画面を見ているうちに、赤色をベースとしてぐるぐると描き殴った筆のタッチに引き込まれ、説得力を帯びて作者の世界を物語ります。岩谷俶子さんの「もみじ、ひかり、秋のゆう」、タイトルと同じ文字が書かれていますが、朱の光のような燃える色がそれを照らしているようです。無造作な刷毛目の跡が抽象化を強めています。

ワークサポート陽だまりからは、さをり織とその制作過程で生まれる制作物などが展示されています。陽だまり43人とクレジットされているさをり織の「無題」、及び上山花梨さんのさをり織2点は、ストールのように長く織られたテキスタイル作品。同じ色の木綿糸を複数本ずつセットし、時折色を変えて縦に通したものが織の基調色となります。横方向は木綿にこだわらずさまざまな仕上げを施した糸を織り込んでいます。縦横の糸の組み合わせの変化で鮮やかな色合いが展開され、たわませたり添わせたりする中で立体的な動きが生まれています。紡ぎ糸の束2点は、作業の様子を伝えようと意図して展示したもので、きりん舎担当者によると糸を巻きとる仕草も各々の個性があっておもしろかったと言います。

山崎和彦さんの4点は、布の残り糸の始末で生まれた糸くずの山。丸まった糸が光沢を放ってふわりとして繊細な細工に見えてきます。他の作業者の方々は引き抜いた糸を長いままにしているのですが、山崎さんだけはそれを丸めておくそうです。工程的には意味のない行為ですが、そんな個人のありようが展示になっています。岩佐明子さんの「ボタン」は、正方形のキャンバスに色も形もとりどりのボタンを気ままに貼り付けたパネル状の作品。キャンバスにさらりと塗られた淡い色彩がボタンを引き立たせる効果をあげています。

2階では「詩音くん」と「夏美ちゃん」による、小学生時代に制作した書の展示。詩音くんは6点、夏美ちゃんは4点で作品タイトルはありません。紙に書かれた文字がそのまま意味を示す書ですが、一見して読める字もあればそうでない字もあり、解読しながら筆触に接するうちに、紙に落とされた黒が立ち上がります。詩音くんの書は、文字の大きさや配置、墨の含ませ具合、筆のスピードに安定したバランス感覚を備えており、「いいの いいの」「風ニモマケズ」「雨ニモマケズ」といった作品に見られるカスレやにじみ、ふくませた墨のたまりが情景を物語り、かつ文字という記号を逸脱した景色になっています。夏美ちゃんの書は言葉を記す心の先立つさまが筆跡に現れているように見えます。仲の良かった友だちが引っ越してふさいだ気持ちを表した「ゆきのさん…」の書では、心がおもむくままに形となってほとばしり、余韻を残しながら折り合いをつけていく気持ちを紙にとどめています。

アトリエにしまち通りオープンしました。

4月22日、アトリエにしまち通りオープンしました。

アトリエにしまち通り”は、参加者2人とご家族を迎えて無事に初回を終えました。

のびのびとした良い絵が出来上がり、アトリエ内に展示してあります。みんなで、次回を楽しみにしています。

関心を持たれた方のご連絡をお待ちしています。以下いずれの方法でも結構です。

☎:0773.42.0277(夜:0773.43.2428)

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NPO法人きりん舎

綾部市西町通り2丁目91番

3/18日~4/2 海の色 町の色 

春の気配があふれ出す3月下旬。きりん舎では「ワークセンターとよなか」そして「ふなや吉兵衛と仲間たち」からの作品が同時に展示されました。ワークセンターとよなかの展示は2015年3月に続いて2年ぶり、ふなや吉兵衛と仲間たちは今回初の展示となります。

きりん舎に入るとわいわいとにぎやかな声が聞こえ、ワークセンターとよなかから大勢が遊びにきていました。前回の展示でお会いした作者の方々も参加しており、懐かしい再会で筆者にとっては大変楽しいひと時でした。

1階は「ワークセンターとよなか」の展示作品が並べられています。ここの施設の特徴は一言でいって「多様性」。絵画あり、織物あり、陶作品あり、ぬいぐるみ人形あり…と作者一人一人の個性がバラエティーに富んでおり、それぞれが語り掛ける世界は、作品のテーマとなる題材も、表現手法も、ムードも、手の使い方さえも、他の人と全く異なっており、見た目にも明るく楽しい展示空間となっています。

渡辺悠太郎さんは、誰もが良く知っている世界の絵画や図像をデフォルメし、登場人物の顔はすべてポップなイラストタッチな鶏に返信させます。大づかみに捉えられた形態は清々しいのですが、名画の登場人物がことごとく雄鶏のコッコくん、牝鶏のコッキちゃんに置き換えられていきます。ビートルズの有名なレコードジャケット「アビーロード」もジョン、ポール、ジョージ、リンゴ・スターみな服装はそのままですが、顔だけコッコくんにすげ替えられ、作者の謎の意図がなぜだか可笑しいことになっています。ダヴィンチの「最後の晩餐」やフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」も文脈の無視っぷりが見事。下絵を描くと聞きましたが大きなパネルも割と苦労なく描いているようにも見え、あっけらかんと明るい画面が魅力的です。

山本信明さんの「富士山」は、山と思しき稜線をブロックに分け、そのブロックごとに地図の等高線のような細い線を色えんぴつで引いて重ねています。色とりどりの色鉛筆の線は、曲線を描きながら間隔はぴたりと等幅を繰り返すことで立体的なうねりが生まれて、見る者を心地よい線の旅に誘います。あまりに繊細すぎて写真ではその美しさを再現できないのが残念です。

市賀妙子さんは前回も優しく綺麗な花を描く作品を見せてくれましたが、今回は花だけでなく魚や鳥を描いた作品も披露。図鑑を見て多くの種類をきれいに羅列する作品も登場し、博物学的興味が広がるのが感じられました。静かな無風の心象風景を感じさせた作風から、「ひまわり」や「カワセミ」など形の表し方に市賀さんなりの世界の捉え方を伝えようとする態度があり、何か動的な解放性も見えてきました。

岩尾寛士さんの「はなちゃん」は、ぬいぐるみのフェルト人形たち。本体にはちゃんとした洋裁の仕上げで服やアクセサリーが着けられています。聞けば最初は小さな人形作りから始めたところ、だんだんと大きな作品に挑戦するようになったらしい。大きな人形は小さな人形の型紙をコピーで拡大して作られているそうで、最近ではそれが4倍、6倍と巨大化しているそうです。表情はどれも優しく、誰しもが心に求める想像上の友だちのような慰めを与えてくれます。

今井勇さん、今回はお会いできませんでしたが、ほのぼのとした作品群とご本人の抜群のおしゃれファッションセンスがとても印象に残っていました。今回は絵画だけではなくニット作品も見られ、「空飛ぶじゅうたん」は、かなり大きな下地布に、今井さんが時間をかけて編みためたニットパーツを縫い付け構成するコンポジション。色や形を組み合わせて空間を捉える力は卓越しており、今井さんという人の存在が作品の輪郭に現れています。

前回はギターや机、引き出しの木箱など、何にでも描くといった作品から野心的な挑戦で楽しませてくれた宮崎博明さん。今回はメディアをぐいっと転換して素焼きの陶土にペイントマーカーで色付けしたレリーフのような立体作品にチャレンジです。カラフルで楽しい作品づくりは前回と変わらず。「カジュアルな海」など大好きな魚や海に題材を取ったといいながら、頭に浮かぶイメージそのままに素早く手が動くのだろうと思わせます。最近は新聞紙を着色する作品に取り組んでいるともいい、相変わらず跳躍する心の闊達さを感じました。

「ふなや吉兵衛と仲間たち」の作品を展示した2階では、京都府の丹後地方にある久美浜町の漁師だったふなや吉兵衛さんの作品を中心に、仲間を含む作品群が展示されていました。吉兵衛さんの趣味の絵描きが高じて、仲間を集めてともに描くことをはじめたのがこの集まりのきっかけです。吉兵衛さんのほか、吉岡英子田中志保さん、木下美紀子さん、西健司さん、田村弘志さん、前田一行さん、井上勝さん、下小田勇さんらの展示は絵を描く楽しさにあふれていました。

筆頭株の吉兵衛さんの作品は、自信を感じさせるしっかりとした筆さばきで、想像力を羽ばたかせ、画面の中で時間を自由に行き来していました。鮮やかな色も不思議な造形もためらいなく表現されていて好感がもてます。仲間たちの絵もそれぞれの個性が遺憾なく発揮されており、イチゴの絵と文章を組み合わせたもの、ゴリラ、想像上の鳥の飛翔、など、老若男女が楽しくいきいきと活動されていることが十分にうかがわれました。

10/22日~ 11/6 「大地と色彩」 社会福祉法人みずなぎ学園 みずなぎ鹿原学園 社会福祉法人 南山城学園 円

dsc_8021風がにわかに冷たくなり、秋の庭も風情深まるきりん舎。このたびは舞鶴市のみずなぎ学園と城陽市の南山城学園 円の同時展示を行いました。

1階手前の部屋と2階はみずなぎ学園、1階奥の部屋は南山城学園の展示です。今回の展示は出品側の要望により、各作品のタイトルや作者名等の紹介キャプションはありませんが、施設ごとの作品の指向性や制作にあたっての考え方を感じ取れる展示になっています。

dsc_80311階手前にはみずなぎ学園の刺繍作品。これだけまとまった刺繍を見るのは、きりん舎でも珍しいパターンです。タペストリー状の大きい作品、小品、カボチャやテントウムシといったモチーフが一目みてわかるもの、幾何学パターンのデザインにかわいい花や動物を並べたもの、また抽象的な模様から色の波が紡ぎだされるようなものとさまざまなタイプの刺繍が並べられています。カボチャをモチーフにした作品は、立派なカボチャの実を画面いっぱいに配置。縫い目を重ね、巧みな色使いで野菜の色のグラデーションを表現していて見事です。形を単純化して取り出し、明確に見せる技に確かな腕を感じます。

610junかわいい子どものような人物二人が並んだ作品は、1cm程度の幅を保ちながら、刺繍糸をリボン状に繰り返し、色を表現しています。刺繍糸も太めですが、常に同じ調子で繰り返す縫い目によって、縫われていない部分の下地が輪郭として表れて力強い表現になります。繰り返し縫われた布にはしわが寄り、スタッフの方によって綿が入れられ立体的な仕上がりになりました。刺繍表現として誰にもまねできない個性を感じます。

dsc_8029赤い下地布に細い糸で小さく縫い付けられたぬいぐるみのような2匹の動物。熊と犬に見えました。2mm程度の繊細な縫い目で一見目立たないですが、数色の糸をよった刺繍糸を使っているのが鮮やかな下地布に際立ち、近寄って見るにつれて糸が浮き上がって全く違うイメージが広がります。この作品のように、いくつか違う色を一緒によって縫い込む作品がいくつか見られ、複雑な色合いを表現して効果を上げてみえました。縫い目の一目一目が下地を覆いつくすように縫い付けられ、圧倒的な波となってうねって見る人に迫ってきます。一糸にこめられた集中力の高さは鋭い緊張感をはらみ、他者としての存在を強く意識させます。

dsc_8101奥へ進むと、次の間には南山城学園の絵と陶の作品群が所せましと並んでいます。絵はクレヨンなどを使って画用紙や木板の表裏両面に描き殴った作品など、多彩なとりあわせで質量ともに見ごたえがあり、作り手の個性を強く感じさせる作品が集まっています。陶作品のいくつかは成形するというよりも、指で押してみる、ほじくり続ける、ごろごろと転がす…といった手の跡が如実に残る土の塊。手に伝わる感覚に没入し、それが知覚のほとんどすべてになりかわる時間を追う気持ちが理解できます。

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また、単純なピースを繰り返しくっつけて作った作品も見受けられました。厚みのある円盤状にした塊を合わせてくっつけて、芋虫の立ち上がったような形に出来上がった作品は、接着面でしわが寄り、迫力ある存在感を放っています。短くちぎった塊を継いで塔状に仕上がった作品は構造的なおもしろさを感じさせます。円状の塊を集めた作品としては、「河原の賽の石をつむ」という表現がイメージとして浮かぶような作品や、鈴のような丸く不可思議な形態がころころと生れ出た作品もあり、こちらは安易な解釈を拒むところに魅力を感じました。

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二階の展示は再びみずなぎ学園の展示になり、絵と陶の作品が並びます。水にうつる植物の影を思わせる作品は、水鏡のような静止した画面で清冽な印象。

 

 

 

また赤い山の峰々を思わせる作品では、くっきりと描いた輪郭が尾根と谷のように見え、メリハリのある画面構成の中にグラデーションにも見える陰影が幻惑的な印象を深く残します。その他の作品についてもいずれも潔い筆致で描かれ、力のこもった美しい画面で引き込まれました。

 

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陶作品では、細長い壺状のオブジェと人物もしくは動物の頭像が並べられています。壺のオブジェはどれも丈が高く全長60~80cm程度ほど。ほとんどは手びねりならでは自然な形と質感で、上に伸びあがる形が並ぶことで空間におもしろい効果を与えています。壺のうちの一つは、真ん中に穴のあいたチップ状の薄片がびっしりと張り付き、焼成による茶灰色~墨色の濃淡の表情が変化して豊かな印象に仕上がっていました。また実物大の動物の頭像のような作品においては、作品への集中力や技術の高さを感じさせました。

 

 

 

 

今回の展示は、状況の異なる二つの施設から集められていましたが、作品の一つ一つは一言でくくれない個性がありました。名前のない作品についてレポートするのは、少ないヒントによすがを求めて作品に目をさまよわせる体験でしたが、名前にしばられないからこそ、その作品を生み出した個々の手の動きを追い、その手と対話する展示になっています。

※ 今回の展示会は、京都府「平成28年度地域アート展開催事業」の補助金を受けています。