アトリエにしまち通り(「アトリエにしまち通りオープンしました。」参照)の活動は開始から約一年が経ちました。
5月12日、初めての試みとなる野外スケッチを開催しました。
この日は少し涼しく気持ちの良いおでかけ日和。バスできりん舎から宮津市にある丹後うみとほしの見える丘公園へ出かけ、楽しい一日となりました。
公園に到着した一行はカフェのある広場を拠点にして、参加者めいめい描く場所を決めて座りました。ほとんどの参加者はアトリエの中で絵を描くことに慣れていても、野外ではほとんど経験がありません。少しとまどっていた様子ですが、やがて思い思いに鉛筆や絵筆を握ってスケッチを始めました。
いち早く画用紙に向かったのがSくん。彼は普段から消防車やレスキュー車などを力強くすばやく描いています。この日は、公園に行く途中に見た海の色が印象に残ったのか、普段あまり使わない青色のパステルを手に取りました。また漁船の絵にも初挑戦し「小金井丸」という船名を紙に描き足しました。その後は消防車などに落ち着いたようですが、短い時間で18枚ほどの絵を描きました。その集中力には驚きます。
Mさんも早々描き始めました。点描的表現を使って、目の前にある木と山の色や形を丁寧に辿っていきます。次の絵では、絵筆から色鉛筆に持ち替えて、より繊細なパターン表現に挑戦です。。若葉の季節であるいま、萌え出ずる木々の様子もさまざまで、パッチワークのように美しい色の変化を見事に捉えました。描き進むにつれ、想像力が翼を伸ばし、草原には花が描き入れられました。
早々と描きながら外遊びの誘惑にむずむずしてきたKくん、Mちゃんの兄弟は、それぞれ一枚ずつ描いたら周囲を探検しはじめました。広場にはボール、竹ぽっくり、ハンモックなど遊具が置いてあり、かけっこにちょうど良さそうな山にも囲まれています。大人にも見守れて思い切り遊んでも安心です。Kくんは緑色や黄緑色のパステルを手に取り、強く描き入れていました。山のようにも見えますが、景色が気にったのでしょうか。きれいな三角形の並ぶ絵になりました。Mちゃんは、池にいっぱいいたオタマジャクシを描いています。元気よく泳ぐオタマジャクシは丸々とかわいらしくMちゃんが気にいったのも納得です。
Yさんは、広い景色を目に前にして、描く対象を定めるのに少々苦戦したようです。カフェやベンチなどの構造物に着目したのは良いアイデアでした。建物の下で人びとのくつろぐ姿にひかれたようです。形を正確にとらえるのは難しかったと思いますがあきらめず挑戦する様子が印象に残りました。緑に囲まれた人の営みをしっかり観察したのではないでしょうか。
Hさんは、周囲を観察しつつ目の前に広がる景色に溶け込むようにして描き始めました。水彩絵の具を多めの水で溶かして、紙の上にさまざまな色・形を落としています。色を混ぜないので、明るく透明な画面になりました。緑を基調に、黄緑、黄、赤茶、黄土などすっと伸びた筆触から生まれる色合いの変化が美しく、5月という季節をうまく表現していました。
途中おやつタイムもはさんで、終始おだやかで楽しく進んだスケッチ会となりました。はじめての試みで参加者もスタッフもややとまどった部分もありましたが、みなそれぞれに新たな発見があったようで、外で描くという行為が刺激になって、今後の描画にも影響が見られるかもしれないと思いました。またスケッチ会については企画できたら良いと思います。今回の反省などもふまえて次回のアトリエ活動につなげていきたいと思います。