昨年に続いて2回目となるハレの日シリーズ。きりん舎から派生したアトリエにしまち通りの作品展示を行いました。同時展示は、いこいの村・栗の木寮、京都太陽の園 宮津サンホーム。造形作家の松浦つかささんには木彫による仏像シリーズを提供していただきました。また2階には今回初めてせんだん苑こども園より、3歳から5歳児の子どもたちによる元気のよい作品が集まりました。14日には岸田ごんべさんのギターライブも行われ、展示に合わせた即興演奏で心地よい音色が奏でられました。
ギターライブの動画をYoutubeにアップしています。
アトリエにしまち通り展覧会ハレの日2応援ライブ前編
よろしければ昨年の「ハレの日」のレポートもご笑覧ください。
7/20~7/24 ハレの日 ~アトリエにしまち通りと仲間達~
玄関の間から通路の間にかけては、アトリエにしまち通り8名による2018年度制作24点を展示しています。
名探偵コナンなどテレビ番組の画面をつぶさに写し取った絵。
上から見下ろした横断歩道を平面に表しながらなにか象徴的に訴える絵。
かつて見た景色や想像の心象から美しい風景を導いもの絵。
不機嫌そうな顔で振り返っている痩せた猫に愛情を注いで描いている絵。
かわいいキャラクターをちりばめて楽しい雰囲気を醸し出している絵。
仮面ライダーなどの戦隊ものが好きで力強く色鉛筆を動かしている絵。
魚、鳥、虫などの多様な色や形を素直な驚きとして描いた絵。
汽車のような物体と言葉をほとばしる勢いで描いた絵。
作者名・題名の表示がないので、個々の作品を追跡してみるには難しいと思いますが、題材への興味や表現のありようから個性が感じられるかと思います。
続いて栗の木寮から。桜井三郎さんは書1点と主にクレパスと水彩による絵画4点。朝日に染まる山のバラ色を表現した「モルゲンロート」はことのほか幻想的で美しく、色の選択と使い方にはっとさせられ示唆的でした。旅行もお好きと見えて新幹線と富士山を描いた「赤富士~元旦~」「バス」など、色彩と構図のゆるぎない調和がありつつ、疾走感も感じられる画面が清々しく素晴らしいです。
山口和男さんの無題5点は一見して美しい色彩のコンポジションといえます。絵具を無造作に重ねたのか、はたまた計算された配置によるものなのか判然としないけれど美しい画面。実は作者は「生まれつき耳が聞こえず、目も見えません」というキャプションに驚きます。どのように色を選び、線や塊を画用紙に置き、カスレや重なりを表現しているのかは謎であり、視覚に頼る鑑賞に疑問が生じます。作者の存在が照射される作品です。
寺岡義雄さんの1点は、マーカーで渦巻き模様を延々と描きつけた作品。模様が反物のような長い紙に落とされ、つながる作品になりました。巻き紙は天井から垂れ下がり、足元の巻き取られた先でも模様が続いているようです。緑や紫色の渦巻きがかたまったりまばらになったりして景色を作っています。想像ですが、作者はぐるぐるを繰り返しながら、絵巻物のように動く風景を楽しんでいたのではないでしょうか。
松田正道さんの1点はかわいらしい猫が2匹描かれています。色鉛筆を使って輪郭線をなぞる描き方で、濃い着色はされていませんが、猫の瞳の黄緑色の鮮やかさ、縞模様の美しさなど、ポイントをおさえてきれいに色が入っており、猫好きなら大喜びの絵です。見上げた顔の角度も魅力十分です。
宮津サンホームから高谷知恵子さんの3点。去年と同様、慈愛の微笑みを浮かべる仏さまらしい人物の絵で、2つは墨を含んだ太い筆で勢いよく描いたもの、1つは緻密な線描と鉛筆で薄く陰影をつけたものです。どれも画面の左上から顔を大きく描き、斜め上から俯瞰するような視点で描かれます。独特な構図、緻密にも勢いがあるようにも描ける闊達な筆づかい、服に描いた幾何学模様の精緻さ。豊かな才能がはじけています。
造形作家の松浦つかささんの7点は、丸太から木目に沿って仏の顔や姿が現れています。木を深く彫り込むことをせず、自然の造形に従っています。節目がノミに当たり、仏様の表情にささくれが立つこともありますが、成り行きが織りなす味わいのようです。
そのほかきりん舎の理事2名(造園家と照明デザイナー)による作品の展示もあり、内容盛りだくさんの展示になりました。岸田ごんべさんのギターライブでは、音の波がループしながらうねって盛り上がり、波のように引いていくようで、あっという間の30分でした。素晴らしいありがとうございました。