11/7日~11/22 色彩のシンフォニー

今回ご協力いただいた社会福祉法人グローのバンバンアトリエは2015年7月に展示があって以来2度目の登場です。出展者はM・Kさん、木村 茜さん、橋本 智樹さん、比嘉 野歩治さん、宮本 亮さんの5人。今回も多彩な表現に出会うことができ、多様な表現者の存在に驚きました。どの作品も色彩感覚が豊かで、手から紙や板へと伝えられ、移されるイメージは創造性の沸きたつものばかりでした。

比嘉 野歩治さんの6点。鮮烈な赤い色は多くは混色しており、隣り合う箇所を微妙な配色でコントロールしています。何点かはメリハリある色調で分割した背景が画面を引き締めていますが、描き筋から自然にできる方形状のモザイクが淡い表情を生じています。また手足や鼻などの突起的な部分の表現では、太く力強い黒の輪郭線によって肉づきや体の機能を表しているようで印象的です。

M・Kさんの9点 段ボールや紙の質感を巧みに利用し、動物や人物を自由な色の解釈で描いています。白色の油性ボールペンや顔料マーカーのマットな質感が飄々とポップな魅力を押し上げています。中間色の使い方がずば抜けており、いろんな色を使っているのにまとまりのある素敵な画面です。絵のモチーフと無関係のコピー風のテキストが画面構成の要素をなして面白いです。

橋本 智さんの3点。「パンダ」「りんご」「バンバン」と明確なタイトルがついておりますが、いずれも方形をベースに構成した抽象画にも見えます。何度か折り重ねられた塗りの下層が上層に透けて画面がキラキラと発光して見えます。写真ではグレイに見える色も実際には淡い藤色だったり、配色も優しく色鮮やかなので、ぜひ実物を見てほしいと思います。

宮本 亮さんの6点。前回に引き続き2度目の登場です。油彩絵具を指につけてキャンバスに伸ばす方法で、調色した色を置いて、右上から左下へとストロークを繰り返し、その色が他の色と出会って新たな色が切り開かれます。混色していても濁ることなく一定のマッスを占めて次の色へと展開する様が不思議です。

木村 茜さん5点(うち2点は2枚組になって2セット)。油性マジックと白い紙だけでこんなに美しい画面が生まれることが驚きです。手首を上下滑らかに動かし、ほぼ等圧・等間隔で少しずつずらしていくと、紙に長円や円弧が表れます。紙にインクが移され、シミやカスレが一種のパターンとなり、織物のような風合いが生み出されます。

きりん舎の庭はニシキギの赤い実やピンオークの紅葉がまっさかり。ぜひお越しください。