ピンオークの葉が赤く染まり、秋深まるきりん舎。今回は鳥取市にあるアートスペースからふる https://art-colorful.com/artist-list/ から4人の作家の作品をお届けします。
玄関から階段前のスペースは福井将宏さんの8点。青く塗った背景に大きく描かれた4つの白い花。「スイセン」というタイトルです。アクリル絵の具の青い背景に大胆に丸められたアクリル絵の具の白の真ん中に黄色い花冠。そしてスイセンの葉や茎にあたるダークグリーン。花は目玉焼きみたいに見えて楽しいです。潔い配色ですが、白にも淡く緑色が混じって繊細な表現です。「チューリップ」「キバナコスモス」も、いずれも画面に厚く盛られた絵の具の質感、抽象化されながら明快な色使いと形が存在感をです。また、字をデザインして構成する「福井フォント」のシリーズもすばらしく油性マジックの自由な線の調子に豊かな創造性が表れています。
階段スペースにはちかさんの油彩画5点。光と影、質感を色で見分け、ざっくりとしたブラシのまま絵の具をのせていく。ちかさんの描く動物が生き生きと画面に表れています。「に「海豹(アザラシ)」ゴマフアザラシの赤ちゃんのかわいらしさが存分に表現されています。額縁にも工夫が見られ、「栗鼠(リス)」「象」の2点には、キャンバスのまわりに木製の木箱を上手にあしらわれた手作りのようです。「風景」をみても夢見るような世界感にひきつけられます。「縞模様の服を着たセザンヌ夫人」はセザンヌの作品の模写で、画家との対話が試みられているようです。
奥の間の8点は元気で、ポップな調子でかわいらしい流生(りゅうせい)さんの作品が並びます。「フラミンゴ」「カニ」「気球」など好みの対象を思うままに描いて遊び心を感じさせます。色彩は明るくセンスよく、対象を画面いっぱいに描いていて楽しそうです。「風神」「雷神」の2対の絵は有名な俵屋宗達の絵がもとになっているようですが、流生さんなりの手が加わって思いがけず鮮やかな色調でとぼけた味わいで愛嬌のある神様たちなりました。
2階には植嶋大輔さんの作品3点。さまざまなものが張り付けられた立体作品で、無題に番号がつけられています。「NO.63」はボードに貼り付けられ物体が背景が深い緑~青系のアクリル絵の具で染められ、物体の真ん中に鮮烈なオレンジ色がぶちまけられています。物体は4つ穴ボタンやボタンホール、ミシン糸のステッチなど洋服の端切れをクシャクシャにして張り付けているようです。他の作品も同様ですが「NO.65」では布以外にも木片や発泡スチロール、紙筒といったものまでくっついています。いずれも立体の力強さと豊かな色彩が深みを帯びてぱっくりと作品世界の入口に誘います。
前回の展示に引き続き、今回のギャラリーでもピアノが登場しています。先日ブログにもありましたが(https://ayabe-kirinya.com/blog/archives/1589)「秋桜」の曲を演奏していただきました。どなたにも演奏をしていただけるので、ぜひ鍵盤の前に座って音を楽しんでいただきたいと思います。