2023/11/25~12/3 静かな咆哮Ⅱ

この日はこれまでのうららかから一転、冬の先触れのようなしぐれ雨の日に訪れました。希望の園の展覧会は20019年春の「静かな咆哮」(ブログ参照 https://ayabe-kirinya.com/blog/archives/1213)から2度目の展示となります。一人一人モチーフも表現方法も異なる5人のアーティストによるすばらしい作品が集まりました。
希望の園ウェブサイト→https://kibounosono.info/

ほんままいさんは鳥を題材にした絵が6点。油彩や色鉛筆で大づかみにとらえた造形、センスある配色コントラスト、全てを楽しんで思うとおりに描いているようでした。「雲の中で外をながめる鳥」はタイトルも少し気になるところや淡い背景の淡くくすんだピンク色と相まって何か鮮やかな南国風の鳥が何を考えているのか創造力をかきたてられました。

岩本愛さんはかっこいい広告デザインのようなキャッチ―さと流麗さを感じさえさせる5点。「華々しい煩悩」は黒と白の鋭利で幾何学的な背景に、くすんだ配色の花々や模様をまとった女性の物思わし気な横顔や指先がすてきで、外国のグラフィックノベルから1シーンをきりとったようなかっこいい画面に仕上がっています。

内山 Kさんの3点は連続するいくつかのモチーフパターンが精緻に積み重なってうねっています。「ナンバーザウルスの地図」は0から9までの数字を画面に羅列しながら、文字の終端が波打ち、空隙がきらきらとした模様で埋められ、文字と文字の間も美しく統一感のある着色で埋められており、模様が渦巻く画面いつまでも見ていられそうです。

中谷早貴さんは、ステージライトで逆光を浴びたミュージシャン風の趣のある外国人らしきポートレート5点が並びます。「ハリソン」は藍色の夜の色の背景に溶け込むピンク色の顔の色が味わい深く、どんな人物でどんな瞬間が作者の興味をとらえて描くことになったのか、気になりました。

福田優飛さんの作品2点は、あらゆる種類の動物たちが画面のそこここに描かれ、だまし絵のように重なりあい、カーニバルのようなシーンが楽しめます。「夏祭り」はとても珍しい求愛ダンスを踊る鳥、複数の象たち、ヤマアラシ、オオハシに似た鳥などが花火で祝祭を催し、光のネオンで描いたような鮮やかで美しい絵です。