きりん舎で創作活動を続けている「アトリエにしまち通り」の作品発表会「ハレの日」は今年で5回目の開催となりました。
社会福祉法人 綾部福祉会 あやべ作業所、社会福祉法人 まいづる福祉会 まぐらゆるり、特定非営利活動法人 若狭美&Bネット若狭ものづくり美学舎、ペーパーアーティストの友田多恵子さんをお迎えして多彩な展開となりました。
ギャラリーの玄関の間では、まず「アトリエにしまち通り」のメンバーの展示から始まります。
KOICHIさんの作品は、大好きな戦隊ヒーローものにまつわる12点。「ヒビキ」は仮面ライダーシリーズの主役の顔を描いているのでしょうか。クレパスの強い塗りと鮮やかな色が印象に残ります。ヒーローの武器らしい絵には名前が添えられています。
堀川遥香さんは今回、夕景や夜景の絵などがならびました。空を飛んでいく鳥、水平線に沈み始めた太陽、グラデーション鮮やかな夕暮れに浮かび上がる木立、自分の左手のスケッチなど、日常と上を見上げてさまよう夢想を行き来するさまが描かれています。
柴山薫奈さんは、2匹の猫やツバメなど動物への視線が感じられるところが前回の展示とも重なります。空をバックに寄り添う猫たちの平和な様子を簡潔にまとめあげる大きな絵は、柴山さんの個性をうまく引き出しています。
四方美紀子さんはいつも想像力豊かな自分だけの世界をクレパスと絵の具をうまく使って表現しています。今回の2点は、クレパスでジグザグを縫うように線を描く表現が加わり、さざ波のように千々に揺れ、次の展開が気になりました。
KENTAROUさんは「動物たち」6点展示。今回もさくっとおおづかみにとらえて手早く描いていますが、2点ほど少し水を含ませながら筆を少しずつずらすようにして描く表現がおもしろかったです。画面に沿って四角く囲い、中に顔のようなものがある絵は謎めいています。
和泉早耶香さんのアジサイの絵は小さな花模様を集めたミルフィオリグラスのよう。
大槻めぐみさんは顔や人形?もしくは犬や鳥?象?たまた宇宙船?と何らかの象形を記号のように単純化して画面に散りばめます。一つ一つがかわいかくて見飽きません。
谷口悠さんは友達を紹介する絵になっていて、自分の身の回りを楽しく描き、色合いもきれいです。
KEISUKEさんは段ボールを積み重ねたり組み立てたりして、建物や造形を見事につくりました。「バイキンマン城」「ガスト」「山」いずれも驚きの出来で、広告で見つけた写真を切り抜きアレンジするのも見事。工作を楽しんでいることが伝わります。
せつさんの「ひふき―Ⅰ」は大きな陶芸作品。板状にした粘土を組み合わせている様子にどうやって自立させているのか不思議です。
社会福祉法人 綾部福祉会 あやべ作業所からは、白波瀬日菜さん、塩見務さん、桜井一番さん 岩崎美佳子さん、東章男さんの作品が並びました。
社会福祉法人 まいづる福祉会 まぐらゆるりからは、藤田由香さん、久留ゆかりさん、淡路みどりさん、池田里子さん、田原道夫さんの作品が並びました。
特定非営利活動法人 若狭美&Bネット若狭ものづくり美学舎からは江戸雄飛さんの書が2点。墨で「笑」「心」と書いていますが道具が筆ではなく何かへら状のものをつかっているのでしょうか。ときおり、手の止まったところで特徴的なギャップ線が見られ、おもしろい景色になっています。
2階にはこのたびの招聘作家でペーパーアーティストの友田多恵子さんの作品を紹介。こうぞで紙を漉くところからさまざまな手間と時間をかけ、紙ならぬ質感と自由な表現を追求されています。本当の気持ちは、「重いのか?軽いのか?試しに持ってみたい!」のですが、作品保護のためそれは許されず、我慢しました。作品の存在感は独特で大変興味深く思いました。