『祝福された風景』出版記念講演 無事終了いたしました

7月19日(土)に開催いたしました塩見 篤史「祝福された風景 近代鉱業空間の風景論的考察」 (文藝春秋企画出版) の出版記念講演、無事終了いたしました。

産業遺産や工場見学ブームなど、近代産業の遺構や工業地帯に展開する大規模プラントなどが、新しい風景として注目されています。しかし、外的な視線からのみ語られることの多いこれらの風景について、炭鉱や銅採掘所など近代鉱業の現場で生き、それらの風景を生み出した労働者や関係者の心情や視点を追うことで風景が単なる鑑賞物ではなく、人間の心と強く結びついた生業の場であることを喚起されています。また、風景を外から見るものと、その中に生きるものとの立場の違いや、負の風景の再生の方法など、考えさせられるポイントもたくさんある講演会でした。

雨模様の天気の中、40名以上の方に来場していただきました。講演会に参加された皆様、ありがとうございました。

DSC_0720 DSC_0774

 

DSC_0803 DSC_0805

あとりえ すずかけ訪問

先ごろ、“あとりえ すずかけ”さんは武庫川から西の宮へ移転されました。
若いスタッフも加わり、活気のある活動が展開されています。
新しい作品も制作されており、また機会をみて作品展をお願いしたいと思っています。

あとりえ・すずかけ訪問

あとりえ・すずかけ訪問

『祝福された風景』出版記念講演

塩見 篤史(著)「祝福された風景 近代鉱業空間の風景論的考察」 (文藝春秋企画出版) の出版記念講演を行います。

『祝福された風景』出版記念講演

塩見篤史

「講演では、明治維新を前後して日本が西欧近代の風景観を受容してから今日まで、毀誉褒貶の多かった鉱業風景がどのように感受されてきたのかを追いかけます。そして風景とは、“美‐醜”基準とした常識的な観方をこえて、実は深く人間の<生>と結びついた意味深い現象であることを炙り出したいと思っています。」著者

Scan030002

日時:7/19(土) 18:30~20:00
会場:京都造形芸術大学 未来館 F302教室
主催:京都造形芸術大学ランドスケープデザインコース・NPO法人地球デザインスクール
ギャラリーきりん舎
事前申込み不要・無料

著者は、“自然との感動的な出会い”をテーマにし、日本庭園の庭師として活動。現在は、アールブリュット作品を中心に展示紹介する“ギャラリーきりん舎”を主宰。同時に、デスクトップガーデン・プロジェクトに参加し、またNPO法人地球デザインスクール理事として、宮津市 “丹後 海と星の見える丘公園” の修景をはじめ地元の地域づくりにもかかわっています。

最近の活動
「琵琶湖ビエンナーレ」出展 2012年
「デスクトップガーデン・プロジェクト」京都デザイン賞知事賞 2013年
「日本の形展」出展 イアリア・ミラノ 2014年
「シークレットガーデン展(イタリアのアーチストとの合同展)」出展 ミラノ 2014年
「ギャラリーAMY‐D」にてデスクトップガーデンと地球温暖化問題に取り組む写真家とのコラボレーションに出展 ミラノ 2014年

 

本はAmazonでも購入できます。

 

4月19日-5月3日 アールブリュットは今 part Ⅲ さまざまな形 それぞれの表現

DSC_0355

芽吹いたばかり緑、桜やコブシの花がふわり。そんな春の訪れとともにきりん舎の展示「アールブリュットは今 part Ⅲ さまざまな形 それぞれの表現」が始まりました。

今回はやまなみ工房から岡元俊雄さん、河合由美子さん、清水千秋さん、そして個人で活動している茨木朝日(あさか)さんの4人です。いずれも力強く存在感を放ちながら、それぞれのこだわりや気質を感じさせる作品群です。

DSC_0365

岡元さんの作品は、絵と陶オブジェ。絵は墨の描線が白い画面を太く細く走り、モチーフに新たな生命を与えます。陶オブジェは、絵にも描いているところから、ある種のこだわりを感じさせる「トラック」を立体的に再現していて、ユーモラスな仕上がり。

DSC_0426

清水さんは、有名絵画のほか、水着姿の女性や祭の光景など、題材選びのセンスがユニーク。時に長く、時に短く繰り出されるチェーンステッチで平面的に画面を構成して見ている人を不思議な世界に誘います。

DSC_0432

河合さんは、刺繍糸を丸く刺していって、ぐるぐると布を巻き込んでいきます。カラフルな糸を何度も縫い込む作業は製作日数も長くかかるとのこと。差し出された作品は立体となり、布の皺も表現に取り込まれます。

取材当日、茨木朝日さんがきりん舎を訪ねてくださいました。ギャラリーに到着してまず、きりん舎主宰の塩見を早速スケッチ。一旦絵を描き始めてノってくるとその場を離れなくなるという朝日さん。ものの5分で描きあげました。

DSC_0374

朝日さんの展示は色鮮やかな着彩に時折スパンコールや糸などを貼った楽しい作品群。絵の題材はさまざまですが、家のインテリアやかわいい動物が出てくるかと思うと、イモリやカエルなどの水生生物も生き生きと描かれています。

実は、朝日さんのお父さん・茨木隆宏さんは、オオサンショウウオ研究者と縁があり、ご自身も大変詳しいそう。話題が京都水族館の話になると、朝日さんも加わって、展示されているオオサンショウウオが集団でぐでんと横たわっていた話を楽しそうに話してくれました。

IMG_1253

「大きな羽根を広げる」という作品では、空飛ぶ鳥が風景とともに描かれています。画面の右上には、緑色に白いとんがりの「富士山」。お母さんと富士山の話をしていて、朝日さんが絵に描き入れたということです。富士山の見える山梨には、ご家族で里帰りすることもあるそうで、お気に入りは吉田の元祖キャベツ入り「白須うどん」だとか。朝日さんの描く絵は、そんな楽しい経験も再構成されているのかもしれません。

DSC_0414

「夢中になって描いている朝日の姿が好きで。」そうおっしゃるお母さんの茨木やよいさんは、但馬ボーダレスアート実行委員会代表として「がっせぇアート展」を運営されています。但馬地域のアールブリュットが一斉に集まる年に一度の催し、手作りのアート展はとても楽しそうです(「がっせぇアート 」“第4回がっせぇアート展 無事終了しました” http://artles.exblog.jp/20774784/ 参照)。5回目にあたる今年は11月9日より開催予定です。きりん舎からも、ぜひ伺いたいと思います。

ギャラリーきりん舎 京都新聞掲載

先日、『京都新聞』からインタビューを受け、記事にしていただきました。前回の「みずのき美術館」所蔵の作品展示会の写真が掲載されています。

京都新聞

3月14日の京都新聞朝刊で、ギャラリーきりん舎とアール・ブリュットについての紹介記事が掲載されました。

次回展覧会のお知らせ

ギャラリーきりん舎、春の展覧会のお知らせです。
期間: 4月19日(土曜)〜5月3日(土曜)

出展作者
fromやまなみ工房

  •   岡元俊雄氏…絵画と陶
  •   清水千秋氏…刺繍
  •   河合由美子氏…刺繍
  •   井村ももか氏…ボタンの玉

from兵庫

  •   茨木朝日氏(アトリエに属さずに活動しておられます。)

 

 

写真はやまなみ工房のアトリエとギャラリーです。
P1080316
  P1080314 P1080317

 

11月28日-12月8日 みずのき作品展 「絵の中で恐竜とウルトラマンを戦わせたい」(2)

DSC_7490

きりん舎 2013年冬の展示「みずのき作品展」。
展示作品の作者の一人、岩本勇さんが訪れ、お話を聞くことができました。
岩本勇さんの談話
「16歳の時から絵を描き始めました。みずのき松花苑で西垣籌一先生が教えてくださるようになってから、現在で30年ほどになります。先生は自由に描かせてくれて、おもしろい絵を描きなさい、ちゃんと見て描きなさい、と教えてくれました。」
「ふくろうの森の絵は、絵から木が飛び出すようにと思って描いています。枝ぶりや立体感の表現に気を遣いました。仕上げるのに3ヶ月ほどかかりました。」

DSC_7504

「ステゴザウルスの絵は力強くリアルな足を描くのが難しかったです。絵の具の垂らし込みで皮膚の質感を出そうとしています。皮膚にはアンモナイトも描きこみました。おもしろい模様になったと思います。」
「恐竜のほかには、バルタン星人の絵を描いたこともあります。今度ウルトラマン対イグアノドンみたいなのを描いたらおもしろそうですね。」

DSC_7537

岩本さんは、観賞者の方々とも歓談し、きりん舎での滞在を楽しんでいた様子です。
その他の絵も、色使いや形に現れた発想の飛躍や、表現力の強さ、画面構成の美しさがあり、それぞれに個性をもった絵は、鑑賞者を魅了しました。

DSC_7510

きりん舎の中の様子。漆喰、木製スツール、和紙のパネル。落ち着いた雰囲気の中に、絵画を引き立てる空間になっています。次回の展示は3月中旬に、15日 間の予定で、やまなみ工房から岡元俊雄氏、河合由美子氏ほか、兵庫県養父市在住の茨木朝日氏の共同展を計画しています。どうぞお楽しみに。