アール・ブリュットの短い旅 東京都美術館と川崎市岡本太郎美術館

今夏の美術館探訪記

8月2日と3日、東京都美術館の「楽園としての芸術」展と、川崎市岡本太郎美術館の「岡本太郎とアール・ブリュット—生の芸術の地平へ…何だ、これは」を訪ねた。

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前者では「アトリエ・エレマン・プレザン」(三重、東京)と「しょうぶ学園」(鹿児島)の作品が展示されている。絵もさることながら、長い時間をかけて創り込んだ“縫い”作品には今回も圧倒された。以前京都造形芸術大学でも“縫い”作品を観賞したが、展示空間の違いもあってか展示方法がやや違っているように思え、そのことから作品の見え方にも違いがあったように思う。

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後者の方では、岡本太郎の絵画や彫刻作品を中心としてH・ルソーやC・ボンボアさらにJ・デビュッヘなどの作品、あるいはアフリカの彫刻などと共に、「やまなみ工房」(滋賀)と「アトリエ・コーナス」(大阪)そして「工房集」(埼玉)の作品が共同展示してあった。「工房集」の作品には、今回が初めての出会であり新鮮な印象をうけた。

ここでは、「何だ、これは!」と銘打って、評価の定まったインサイダー・アートとアール・ブリュットの作品を共同で展示し、既知の観賞態度や芸術の在り方を問い直している野心的な企画に強い共感を持ち問題意識の触発を受けた。

展示の仕方によるとも思えないが、岡本太郎の作品に以前と比べてより力強い感動を得た。自分の側の観賞の仕方が変わってきたようにも思えるが、なんだか落ち着かない気持ちを引きずって帰途についた。

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ついでに、美術館にほど近い旧岩崎邸とハスの咲き誇る不忍池を回ってみた。久しぶりに訪ねた不忍池のハスは盛りを過ぎていたがまだ一面に緑の葉を密生させ、ところどころに大ぶりの花をのせていた。

旧岩崎邸正面 DSCF1201

旧岩崎邸は丁寧に手入れされていて、今も沢山の観光客が訪れている。主庭はやや荒れているが、和建築に付随した飾り蹲踞などは丁寧に手入れされていて見ごたえがあった。庭木のほとんどがモッコクだったが、これは岩崎翁の好みだったのかなぁ。また、幾つかの石造美術作品も残されている。

撞球場テラスの椅子

…以上は、余暇のおすそ分けでした。

 

塩見