ギャラリーきりん舎」カテゴリーアーカイブ

11/22~12/7 アールブリュットのこだま はるかな呼び声 ー片山工房作品展ー 

山の木々に冬の訪れを感じる晩秋、きりん舎の庭のピンオークもまもなく落葉を迎えようとしています。今回は神戸市長田区にある片山工房の作品を紹介します。神戸市長田区にある片山工房。他のギャラリーに作品をゆだねた展示は初の試みです。

片山工房公式ページ(http://studio.kobe-katayama.com/

DSC_1721正面を飾る「赤と黒」は、澤田隆司(たかし)さんの作品。横140cm・縦110cmほどのキャンバスに大きく投げ出した黒のペンキを赤のペンキが上書きし、それらの塊から目盛のような線がリズムを打つ。赤の裂け目から黒がのぞく際(きわ)も美しい。身体障害のある澤田さんは、足の下に置いた画面にペンキ缶を蹴って倒す一方、画面を支えるスタッフが澤田さんに尋ねて画面を傾け、流れるペンキを定着させるという方法で制作している。他の出品のうち2作は画用紙、他の3作は3mほどの赤く細長い布。布はペンキが乾くにつれて縮み、その柔らかな風合いと固まったペンキの対比がおもしろく感じられました。

DSC_1735松浦愛夢(まなむ)さんの作品は、和紙に乗せた水彩のにじみの優しい画面が特徴的。一方、画面構成にはあっと言わせる驚きと愛嬌があります。「ネギま」と「南あわじ神社」は、大きく配置した色が表すものとタイトルの関係が憶測を呼んでユーモラス。「コウノトリ」や、グレー同系色に赤い射し色が小気味よく美しい「イブサンローランのバックはやさしい色合い」など合わせて見ているうちに、色とパターンの戯れが見ている側に喜びをもたらし、水彩のしずくが垂れる様子が、作者の絵との向き合い方を浮かび上がらせます。

DSC_1685上杉結喜子さんの作品は、形と色が反復から変奏へ自律的に作動し、作者自身を突き動かしているよう。3作の「無題」では、マジックで重ねた線と色が、とっかかりとなる決まりごとから冒険に踏み出し、やがてうねって上昇していくように見えます。白い画面にモノクロのエンピツだけで展開した「向日葵」では、ヒマワリが解体され、再構成されます。「たのしい」は、いくつかの決まった色をパズルのピースのように塗り分けて並べた作品。このような画面ができあがるのはなぜなのか、作者もその不思議を楽しんでいるようです。

DSC_1728新城孝彦さんの作品、「無題」4作は、自分の手を直接ペンキに浸して、画面にペンキを細く長く垂らしたり、塗りたくったりして出来ています。今回展示の作者5 人を紹介するスライドショーを見ると、新城さんは、手をペンキに染め、キャンバスを前に微笑み、にこにこ笑っていたのが印象的でした。楽しげな表情から、 指から落ちて伸びたペンキの軌跡の美しさや感触にまつわる喜び、画面に広がるイメージを楽しんでいる様子が伝わります。

展示を見に来られた中丹支援学校に勤務する教員の方。きりん舎には第1回の展示からほぼ毎回見に来られ、障害者の可能性に刺激を受けているとのこと。いずれはきりん舎で支援学校の作品展を開きたいと、現在、企画を進行中です。

また、この日はアール・ブリュットの専門家として活躍される井上多枝子さんも来訪され、きりん舎の民家のようなたたずまいを、落ち着いた空間で作品を楽しめると評価されました。井上さんは、かつて片山工房で、作者の制作にあたっての緊張感やイメージが現れようとする瞬間の喜びを、サポートスタッフも一体となって分かち合う様子を目の当たりにしたと言います。この時にアール・ブリュットの自由な展開に思い至るきっかけが得られたと語ってくれました。

今回の展示にあたって、きりん舎が片山工房を訪れたところ、一日では見切れなほど数多くの作品が保管されていました。今回限りの展示ではなく、また次回も企画したいという希望をお伝えしまたので、近いうちにまたの機会があることを期待したいところです。

歌誌「林泉誌」

前回のYELLOW WOKS展示会に来られた歌人・小寺幸子さんの詠まれた短歌が、歌誌『林泉誌』に2首収録されています。

ご本人の了解を得ましたので、公開させて頂きます。

  1. 障害のある人の描きし素直さよ 肩より腕へのこのしなやかさ
  2. 障害のある少年ひたすら描きたる 白き狼の目のやさしさ

「直観を読みました・・・」とのコメントが付いています。
降雪のなかに狼がいる風景の絵をみて読まれたということでした。

 

7月19日~8月3日 YELLOW作品展 浮遊する色彩

今回のきりん舎は、大阪府泉佐野市の「YELLOW」から、独自の個性からなる8人29点の絵画を紹介します。色とりどり思い思いの線を描きながら、それぞれの好みやこだわりをうかがわせる幻想やユーモア。YELLOWから何人かのメンバーの来訪もあり、彼らの作品をモチーフにした絵はがき、Tシャツなどオリジナルグッズは訪れる人たちに好評で、みなそれぞれ観賞を楽しみました。YELLOW公式ページ(http://www.yellow.ne.jp/)

DSC_0857_キリン舎に入った正面に展示されているのは平野 喜靖さんの作品。モチーフのデフォルメが造形的な効果をあげています。幾何学的なパターンの背景に力強い造形からなる大胆な画面構成。よく見ればマーカーを自在に使いこなし、緻密なタッチを繰り返して完成にたどりついていることがわかります。

 

 

IMG_1808_続く穴瀬 生司さんの作品は、まず殴り書きのようなマーカーの線に目が行きます。画用紙とマーカーの接点から線となる動きに作者は集中しているでしょうか。それらの線が集まり、離れていき、やがて遠くから見ると色の洪水に漂うような感覚が生まれます。

 

 

DSC_0876_YOUさんの作品は美味しそうな食べ物や、かっこいい自動車とそれに合わせて考案した若い男性キャラクターたち。描線に迷いがなく、色使いもポップで快活な魅力を感じました。確かな観察を明確に表現する中にユーモアセンスもうかがわせます。

 

 

DSC_0862_1階奥に展示された有田京子さんの作品は、点描を描きいれたパターンをパッチ―ワークのようにつないで作る画面。力のある画面構成と色に対する驚くべき鋭敏な感覚が備わっています。落ち着きと優しさが感じられる絵から、心地よい風景が広がります。

 

 

DSC_0873_続いて階段を上がると、大輔さんの作品。温度計、計算機、ものを測る道具や尺度、数字の形象を端正に並べて構成した画面はそれ自体が精巧な機械のようでもあり、数字の世界に形態的な美しさを見出す個性がとても魅力的です。

 

 

IMG_1792_古谷 吉倫さんの作品は、建物、人物、動物、乗り物、小さく記号のように並べられています。繊細な輪郭線の美しさ、巧みな色使い、楽しい画面展開、といった要素が心地よく絡み合い、そこに現れる微かな地域性から空想の世界へと誘います。

 

 

IMG_1791_植田 大智さんの作品は、次から次へと湧き上がる不規則な色・形が生成され、うねって流れるようです。具体的にモチーフが推測できそうなものと、見たこともないようなモノが自在に融合し、見るものの心がざわめきます。

 

 

IMG_1790_今回の展示で二つの方向性を示した上田 匡志さん。「雪の女王」のように青い夜と雪の白が幻想的なおとぎ話の世界と、最近凝っているというスポーツ競技の機能的な形態を再構成した対比的な作品は、甲乙つけがたい魅力があります。匡志さんとご両親の昌史さん、益見さんにお話を聞くことができました。

上田 匡志さんはYELLOWに入所して5年目。小学生の頃は筆圧が弱かったのですが、仮名の書き方を練習しているうちに力強い線が描けるようになり、やがて中学生になると本格的に絵を始めました。目で見た記憶をもとに描きあげる匡志さんの絵はご両親が愛情を込めて「野望」と名付けており、欲しいものや行きたいところを表現していると言います。大好きなおとぎ話の国や、かっこいい乗り物、それらの野望を貯金の目標にして頑張り、家族旅行を楽しんでいます。先日は千葉にある懸垂型のモノレールにも乗りに行き、今度はサンリオビューロランドへ行くのが目標だとか。アトリエのある作業所が少ない中、YELLOWまでは自力で往復して通っていますが、ここにいると他の人の描画からも良い刺激を受け、楽しんで絵を描いているとのことです。

8人もの作者を一挙に紹介したYELLOW作品展。8月3日(日)まで展示中です。それぞれの個性と夢に彩られた浮遊する色彩を感じ取ってもらいたいと思います。

YELLOW作品展 浮遊する色彩 はじまりました!

7月19日(土)より、YELLOW作品展 浮遊する色彩 がはじまりました。
夏らしい天気にめぐまれた20日の日曜日にギャラリーきりん舎を訪ねました。

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個人的に気になったギャラリーグッズ。なんとギターピックです。作家さんの音楽好きのお父さんのリクエストが製品化のきっかけになったとか。

今回の作品展は、大阪の泉佐野市のりんくうタウンで、アトリエ活動をメインに地域での就労継続支援や移行支援を行うYELLOWの登場です。アトリエ単独で行う展覧会は今回が初めてだそうです。参加作家数も、今までの展覧会では最多の8人が参加。多彩な作品が並びました。

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来場された皆さん、熱心に作品に見入ってました。出品された作家さんが来られていたので、作品や絵を書き始めたきっかけなど、お聞きすることができました(インタビューの内容は次号で詳しく紹介します!)。

展覧会は、8月3日(日)までです。暑い夏になりそうですが、YELLOW作品展を見に綾部にお越しください。

 

4月19日-5月3日 アールブリュットは今 part Ⅲ さまざまな形 それぞれの表現

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芽吹いたばかり緑、桜やコブシの花がふわり。そんな春の訪れとともにきりん舎の展示「アールブリュットは今 part Ⅲ さまざまな形 それぞれの表現」が始まりました。

今回はやまなみ工房から岡元俊雄さん、河合由美子さん、清水千秋さん、そして個人で活動している茨木朝日(あさか)さんの4人です。いずれも力強く存在感を放ちながら、それぞれのこだわりや気質を感じさせる作品群です。

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岡元さんの作品は、絵と陶オブジェ。絵は墨の描線が白い画面を太く細く走り、モチーフに新たな生命を与えます。陶オブジェは、絵にも描いているところから、ある種のこだわりを感じさせる「トラック」を立体的に再現していて、ユーモラスな仕上がり。

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清水さんは、有名絵画のほか、水着姿の女性や祭の光景など、題材選びのセンスがユニーク。時に長く、時に短く繰り出されるチェーンステッチで平面的に画面を構成して見ている人を不思議な世界に誘います。

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河合さんは、刺繍糸を丸く刺していって、ぐるぐると布を巻き込んでいきます。カラフルな糸を何度も縫い込む作業は製作日数も長くかかるとのこと。差し出された作品は立体となり、布の皺も表現に取り込まれます。

取材当日、茨木朝日さんがきりん舎を訪ねてくださいました。ギャラリーに到着してまず、きりん舎主宰の塩見を早速スケッチ。一旦絵を描き始めてノってくるとその場を離れなくなるという朝日さん。ものの5分で描きあげました。

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朝日さんの展示は色鮮やかな着彩に時折スパンコールや糸などを貼った楽しい作品群。絵の題材はさまざまですが、家のインテリアやかわいい動物が出てくるかと思うと、イモリやカエルなどの水生生物も生き生きと描かれています。

実は、朝日さんのお父さん・茨木隆宏さんは、オオサンショウウオ研究者と縁があり、ご自身も大変詳しいそう。話題が京都水族館の話になると、朝日さんも加わって、展示されているオオサンショウウオが集団でぐでんと横たわっていた話を楽しそうに話してくれました。

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「大きな羽根を広げる」という作品では、空飛ぶ鳥が風景とともに描かれています。画面の右上には、緑色に白いとんがりの「富士山」。お母さんと富士山の話をしていて、朝日さんが絵に描き入れたということです。富士山の見える山梨には、ご家族で里帰りすることもあるそうで、お気に入りは吉田の元祖キャベツ入り「白須うどん」だとか。朝日さんの描く絵は、そんな楽しい経験も再構成されているのかもしれません。

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「夢中になって描いている朝日の姿が好きで。」そうおっしゃるお母さんの茨木やよいさんは、但馬ボーダレスアート実行委員会代表として「がっせぇアート展」を運営されています。但馬地域のアールブリュットが一斉に集まる年に一度の催し、手作りのアート展はとても楽しそうです(「がっせぇアート 」“第4回がっせぇアート展 無事終了しました” http://artles.exblog.jp/20774784/ 参照)。5回目にあたる今年は11月9日より開催予定です。きりん舎からも、ぜひ伺いたいと思います。

次回展覧会のお知らせ

ギャラリーきりん舎、春の展覧会のお知らせです。
期間: 4月19日(土曜)〜5月3日(土曜)

出展作者
fromやまなみ工房

  •   岡元俊雄氏…絵画と陶
  •   清水千秋氏…刺繍
  •   河合由美子氏…刺繍
  •   井村ももか氏…ボタンの玉

from兵庫

  •   茨木朝日氏(アトリエに属さずに活動しておられます。)

 

 

写真はやまなみ工房のアトリエとギャラリーです。
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11月28日-12月8日 みずのき作品展 「絵の中で恐竜とウルトラマンを戦わせたい」(2)

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きりん舎 2013年冬の展示「みずのき作品展」。
展示作品の作者の一人、岩本勇さんが訪れ、お話を聞くことができました。
岩本勇さんの談話
「16歳の時から絵を描き始めました。みずのき松花苑で西垣籌一先生が教えてくださるようになってから、現在で30年ほどになります。先生は自由に描かせてくれて、おもしろい絵を描きなさい、ちゃんと見て描きなさい、と教えてくれました。」
「ふくろうの森の絵は、絵から木が飛び出すようにと思って描いています。枝ぶりや立体感の表現に気を遣いました。仕上げるのに3ヶ月ほどかかりました。」

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「ステゴザウルスの絵は力強くリアルな足を描くのが難しかったです。絵の具の垂らし込みで皮膚の質感を出そうとしています。皮膚にはアンモナイトも描きこみました。おもしろい模様になったと思います。」
「恐竜のほかには、バルタン星人の絵を描いたこともあります。今度ウルトラマン対イグアノドンみたいなのを描いたらおもしろそうですね。」

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岩本さんは、観賞者の方々とも歓談し、きりん舎での滞在を楽しんでいた様子です。
その他の絵も、色使いや形に現れた発想の飛躍や、表現力の強さ、画面構成の美しさがあり、それぞれに個性をもった絵は、鑑賞者を魅了しました。

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きりん舎の中の様子。漆喰、木製スツール、和紙のパネル。落ち着いた雰囲気の中に、絵画を引き立てる空間になっています。次回の展示は3月中旬に、15日 間の予定で、やまなみ工房から岡元俊雄氏、河合由美子氏ほか、兵庫県養父市在住の茨木朝日氏の共同展を計画しています。どうぞお楽しみに。

11月28日-12月8日 みずのき作品展 「絵の中で恐竜とウルトラマンを戦わせたい」(1)

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きりん舎の2013年最後の展示は、京都府亀岡市にある「松花苑(しょうかえん)みずのき」の作品展になりました。みずのき、京都府、きりん舎による三者共催です。作品の選択と展示方法について、みずのきから提案を受け、きりん舎も刺激を受けました。

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きりん舎代表・塩見と松花苑みずのきの出会いは、以前、松花苑グループの施設「かしのき」で行われていた園芸療法に塩見が庭師として手伝ったことがきっ かけです。いつか、みずのきの作品展をやりたいと企画を温め、作品が集まるのを待ちながら、きりん舎2年目にして5回目の作品展で登場となりました。満を 持してのお披露目に約150人の来訪者が観覧しました。
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今回の展示は、木炭でカボチャを描く岡本由加、コヨーテの親子がユーモラスな小笹逸男、ステゴザウルスやフクロウの森の夜を描いた岩本勇、密度の濃いク レヨンで石を描く二井貞信、点描で大画面を埋めた福村惣太夫、家を題材に幾何学的に画面分割した堀田哲明、人の顔らしき再構成が不思議な山本一男など16 作品。着彩の道具も手法もさまざまでしたが、探求心、自由さ、独自の視点に圧倒的な力があります。

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12月8日の最終日は作者の一人、岩本勇さんがきりん舎に遊びに来てくれました。「亀岡から時刻表を見ながら計画してきました。旅が好きで、このあいだは伊豆に行き、富士山を見ながら温泉に入ってきました。」そんな岩本さんに絵について聞いてみましょう。

(次回に続きます)

ふしみから8プラスαのアートの風

ギャラリーきりん舎では、現在、第4回目の展覧会、ふしみから8プラスαのアートの風が開催中です。

今回は、京都市ふしみ学園の中に生まれたアーティスト集団、アトリエやっほぅ!!の登場です。

ギャラリーでは、アクリル絵の具やクレパス、墨などをつかって描かれた、4人の個性的な作品と、アトリエのみんなの共同作業で作られた陶芸作品が展示されています。

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2階の和室には、陶芸作品でできた街が。よく見ると、金閣寺や大文字山、京都タワーが。新幹線も走っています。

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アトリエやっほぅ!!は、陶芸作品を中心にTシャツや、ポストカードなどのアートグッズにも力を入れているようです。ギャラリーきりん舎でも、作品展示期間中に販売しています。

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ギャラリーにお越しになって、ぜひ手にとってご覧になってください。

展覧会は、7月14日(日)までです。

アトリエコーナス・出展アーティスト情報

第3回展覧会 記憶と憧れの組曲 出展作家プロフィール

 

植野 康幸 うえのやすゆき

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1973年生まれ。大阪府大阪市在住
2005年より作品制作を始める。

色はピンク、キャラならベティ。可愛いもの・きれいなものが大好き。
言葉のない彼がファッション雑誌VOGUE(ヴォーグ)を購読し、気に入ったものをモチーフにとことんまで描く。
日々コツコツと時間をかけ、丁寧に作品の細部まで色を積み重ねる彼の絵は、他には得難いクールな美がある。
モデルの仕草や衣服、色合いにこだわる彼は、納得いくまで何度も消しては描き、着色も複数の素材を使って
塗り重ねる。
試行錯誤を繰り返し出来上がった作品は独自の色合いに溢れ、細部に至るまで彼のこだわりで満たされている。

大川 誠 おおかわ まこと

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1976年生まれ。大阪府大阪市在住
2005年より絵画作品制作を始める。その後、原羊毛によるフェルト人形「makoot Doll」の制作開始

大川は物を壊し続ける人だった。
2005年からアートを始めた事で、破壊のエネルギーが想像のエネルギーに切り替った。
大川の制作に対する集中力は凄まじい。
原羊毛を手に取り、フェルト人形制作を始めると3ヶ月は作り続け、2~3日で1体を完成させる。
フェルト人形制作の手を休めて筆を持つと、同じテーマで100枚以上を書き続ける。
彼の作り出すものは鮮やかで、力強さに満ち溢れた色彩は私たちを捉えて離さない。

中村 大輝 なかむら ひろき

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1988年生まれ。大阪府大阪市在住
2006年より作品制作を始める。

中村はいつも笑顔で、周りを元気にさせる力をもっている。
その絵にもまた笑顔が描かれているが、静かな石仏をたたえているかのようにも見える。
色鉛筆で力強く塗り込められた画面は同じように見えても、バックの塗り分けが違っている。
芯が無くなると違う色に持ち替えるが、その配色の意外性に惹き付けられる。

西岡 弘治 にしおか こうじ

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1970年生まれ アトリエコーナス所属
2005年より制作を始める。

幼少時代から周りをハラハラさせた、多動で身軽な野性的な行動に満ちあふれたエネルギーは
30年後、「動」から「静」へと変化した。
2006年秋、コーナスに寄付されたピアノについてきた「SONATINE」の楽譜を模写し始め、
『音符シリーズ』が生まれた。
無機質な音符や記号が穏やかな遷都柔らかなカーブで描かれ、美しい旋律が聴こえるようだ。
彼がいつも口ずさんでいるフレーズと、うちなる世界がそこにある。
おおらかに描いていくため、画用紙に音符が入りきらなくなるが何としてでも入れこむ。
その収め方がなんとも面白くあっぱれだ。